最近のMicrosoftの印象とエンジニアの開発環境事情

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Microsoftの印象

マイクロソフトと言えばWindowsで世界中のOSのシェアを支配していますが、その割にエンジニアからの評判はあまり良くない印象があります。
シェアが巨大なためにネガティブな声も聞こえてきやすいという事もあると思いますが、多くのエンジニアに批判されていたという事もあってかITブームの頃でさえあれだけの大企業なのにGoogleやAppleなどと違って最先端企業でカッコイイというイメージは無かったと思います。

僕は具体的にマイクロソフトを批判できるほどの知識は無いのですが、そういった声を聞いていてマイクロソフトは巨大コンピューター企業だけどちょっと野暮ったいというイメージを持っていました。

Windows10がbashに対応

そんなマイクロソフトが今年になってエンジニア達が驚くようなニュースを発表しました。
Windows 10がBashに公式ネイティブ対応。マイクロソフトとカノニカルが協力、Ubuntu Linuxのコマンドラインツールがそのまま動作/engadget
ここ最近のIT関連のニュースで一番驚いたニュースです。僕はBashもPhotoshopも使うのにMacを持っていないのでWindowsでBashが使えるというのは単純にユーザーとして嬉しいニュースだったのですがマイクロソフトは凄く保守的だというイメージがあったので、ここまで思い切った事をしくてるという事に驚きました。
ただいきなり印象が一変したわけでもなく、このニュースの以前から最近のマイクロソフトが徐々に変わってきているという印象は感じてはいました。

Visual studioに見えるMicrosoftの変化

マイクロソフトは自社が提供する統合開発環境であるVisual Studioのバージョン2013においてCommunity版を発表しました。これは従来の機能が制限されていたExpress版と違い、ライセンスが厳しくなる代わりにProfessional版とほぼ同等の機能を無料で使えるというものです。

この変化はパッケージを販売して利益を上げるというマイクロソフトが巨額の利益を上げていた従来のビジネスモデルを変えようとしている事を意味していると思います。当初廃止される予定だったExpress版は結局継続してリリースされる事になったようですが、初めは廃止しようとしていた事を考えると会社の方向性自体を転換させようとしている事は間違いないと思います。

また2015年の年末にはVisual Studioのテキストエディタ版であるVisualStudio Codeをオープンソース化してGitHub上に公開しました。マイクロソフトは過去には自社の社員がオープンソースのプロジェクトに参加する事に反対するなどオープンソースに対してあまりいい顔をしていませんでしが、さすがに時代に取り残されていると感じたのか最近ではVisualStudio Codeを始めとして自社プロジェクトのオープンソース化を進めているようです。

MicrosoftがなぜOSSにコミットする?開発者イベント「de:code 2016」が開催/マイナビ・ニュース

こうした変化がちょこちょこ見られたのでマイクロソフトも変わりだしているんだな思っていたのですが、そうは言っても他のIT関係の企業と比べた場合にはまだ何周も遅れてると思っていたのでWindows10のBash対応のニュースは衝撃的でした。

マイクロソフトのCEO

どうやら会社として大きく変化しだしているマイクロソフトですが、マイクロソフトが変化しだした理由の一つにはCEOの存在があるように思います。
マイクロソフトの代表といえばビル・ゲイツがあまりにも有名ですが、彼は現在はコンピューター業界の一線からは退きビル&メリンダ財団という財団を立ち上げて慈善事業活動を行っています。彼の引退に関してはまだマイクロソフトに在籍していた時から慈善事業への関心が出てきたこともあって、早めに自分は一線から退くという事をアナウンスしていた記憶があります。
Wikipediaにも2008年6月30日にフルタイムの仕事からは引退、2014年2月4日に会長職から退いて技術担当アドバイザーに就任とあるので、一代で築き上げた巨大企業のトップの退任とはいえそれに備えるだけの十分な時間はあったと言えると思います。

そのマイクロソフトのトップはビル・ゲイツからスティーブ・パルマー氏を経て現在はインド出身のサティア・ナデラ氏が2014年からCEOを努めています。情報科学の修士とMBAの資格も持っているそうで、マイクロソフトのCEOなので当然ですがかなりのエリートです。

サティア・ナデラ氏は現在48歳、ビル・ゲイツよりも12歳若いです。(関係ないですが、ビル・ゲイツぐらい有名だとビル・ゲイツ氏でもビルゲイツさんでもなく固有名詞としてビル・ゲイツと書きたくなります)
僕はビル・ゲイツが新しい技術についていけないとは思わないですが彼がインターネット世代のエンジニアではないのは事実ですし、インド出身の10歳以上若いエリートエンジニアと聞くとマイクロソフトの改革はサティア・ナデラ氏のような若い世代の人間が主導したのではないかと思えます。

実際サティア・ナデラ氏の手腕はマイクロソフト社内でも高く評価されているようです。
マイクロソフト新CEOサティア・ナデラ氏とは?人物像を探る by 本田雅一/週刊アスキー

具体的に彼がどういった仕事をしたかは定かではないですが、エンジニア出身の彼から見た場合インターネット時代のマイクロソフトがそれ以前ほどの存在感が無いのは明らかですし、ビル・ゲイツが退任の準備をしている時から当然重要なポストについていたでしょうから、やはりCEOに就任した事を機に彼が携わっていたインパクトのあるプロジェクトを実行したのではないかと思えます。

Appleとの比較

そんなマイクロソフトと比べるとライバルであるアップルは少し前であればITの世界を引っ張っている企業の一つだったのですが、スティーブ・ジョブズがいなくなった後は大方の予想通り常に革新を行う最先端企業であるというイメージを大きく失っています。
まだまだ存在感はありますが、新しいもので市場にインパクトを与えることが出来ていないので現在はどうしても勢いが無い感じがします。

しかも現在のアップルはノートパソコンのヒット商品であるMacBook AirよりもiPad Proに力を入れていて、大型タブレット+キーボードの組み合わせでモバイルコンピューターの分野のシェアを取ろうとしているようです。
これはMacユーザーのエンジニアにとっては歓迎出来る流れではないと思います。iPad Proを含めアップルのタブレット端末のOSはiPhoneと共通のiOSなので、Mac ProやMacBook AirのOS Xとは互換性がありません。
大型タブレットにキーボードをつけてノートパソコンのように使えると言われても、開発環境として利用出来なければエンジニアにとっては仕事道具として使い物にならないでしょう。

アップルが業界のトップの地位にいることが出来たのはiPodやiPhoneの大ヒットでエンドユーザーの指示を得た事も理由の一つです。その視点から考えるとエンドユーザーにとっても需要の大きいタブレットやiOSをに力を入れるのはおかしな事ではないでしょう。
一方でアップルが成功した理由にはエンジニアからの指示を得ていたというのも大きいと思います。OS XはWEBデザイナーにとっても使い慣れている上に、UnixライクなOSでエンジニアにとっても使いやすい開発環境でした。WEBの時代の開発において両者の環境を揃える事が出来るというのは大きなアドバンテージです。そのためWEBに関係する開発者などはMacを選択する事も多く、そのことが最先端の企業であるというイメージ作りに一役買っていたと思います。
そんなアップルが仮にこの先のモバイルコンピューターの役割をタブレットに担わせるとしたら、開発者達はアップルから離れていかざるをえないでしょう。iPad ProのOSが変更されるなら話は別ですが。

マイクロソフトのタブレット戦略

アップルと比較してマイクロソフトのタブレット製品であるSurfaceは従来のPC寄りのデザインになっています。Surfaceに搭載されているWindows10は基本的に今までのWindowsの環境を継承しつつ、タブレットでも使えるという設計になっているので開発者にとっては慣れ親しんだテキストエディタやPhotoshopなどのアプリケーションもそのまま使えます。そんなSurfaceがBashに対応するとなるとタブレット+キーボード+アプリケーションの資産+Bashと、モバイルの開発環境として少なくともスペックの上では隙がないように思えます。

実際僕も持ち運べに便利なノートパソコンとしてMacBook Airの購入を検討していましたが、アップルの最近のタブレット寄りの姿勢に二の足を踏んでいました。そんな中でSurfaceがBashに対応するなると「Mac欲しかったけど、surfaceを選ばない理由が無いよなあ…」という感じで現在では悩んでいる状況です。

僕の個人的な事情は置いておくとしても、アップルがこのままモバイルコンピューターの分野においてタブレットの利用を推し進めるならアップル製品はエンジニアにとって開発用途としては使いづらくなってくるでしょう。そうなった時には今回のマイクロソフトのBashの対応の出来や、次の戦略のインパクトによってはエンジニアが使用する開発環境が大きく変わる可能性もあるのではないかと思います。